「雨に拍手」  小田寛一郎

この録音にはタイトルどおり、雨の音と雨に拍手する音とそれ以外のいろんな音が入っています。2008年の1月の何日だったかおそらく正月明けてすぐくらいだと思いますが、朝方5時くらいに寝ようと思い布団に入ったときには雨が降り始めていました。布団のなかで、父親からくすねたマーティン・ポーリー「バックミンスター・フラー」を読みながら、チェリビダッケの指揮するドビュッシー「海」をラジカセで聴きながら、眠くなるのを待とうかというところ、チェリビダッケの指揮するドビュッシー「海」のCD冒頭に収録されている観客の拍手の音と外から聞こえてくる雨の音が似ているような気がしました。そこで、雨に拍手している様子を録音してみようと思い立ちました。最初は、ベランダにテープレコーダーを置き、窓を開けた状態で室内から拍手をしてみました。聞き返してみて、それだと拍手の音が大きすぎて目立ちすぎるように感じたので、最終的にはベランダにテープレコーダーを置き、窓を閉めた状態で室内から拍手をした様子を録音しました。雨の音と拍手の音をそれぞれ対等に示したかったのかもしれませんが、そもそも雨に拍手をしたからといってどうなんだろう、とも思います。雨の降る朝方に、たまたまドビュッシー「海」のCD冒頭に収録されている観客の拍手を聴いて浮かんだ、普段なら思いつきそうもない「雨に拍手(する)」という思いつきがなんだか嬉しかったのかもしれません。あと、録音の長さについてですが、テープレコーダーの録音ボタンを押して、あとはもうただひたすら拍手して、もうぼちぼち疲れたよというところで録音停止ボタンを押しています。